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ガラスのこといろいろ
今では身近で馴染み深いガラスですが、その歴史は深く、
古代メソポタミアで作られたガラスビーズが起源とされています。
ロマンあふれる歴史や独自の制作技法を紹介します。
ガラスがいつごろから作られているか、その始まりははっきりとは分かっていませんが、様々な研究により、現在のところ西暦紀元前25世紀ころ(約4500年前)に作られたものと考えられています。
最初にガラスが興ったと考えられている場所は、古代シリア・メソポタミアとされており、当時は宝石の一種として大変貴重なものであったようです。
「瑠璃(るり)」・「玻璃(はり)」という言葉をご存じでしょうか。
他にも「ビードロ」「ギヤマン」といった言葉もあります。
実は、これらはすべて「ガラス」を意味し、その昔日本で実際に使われていた言葉です。
「瑠璃」「玻璃」はもっとも古い言葉で、
インドから中国を経て伝わったとさわれています。
16世紀にはヨーロッパから始まった様々なガラスが渡来し、 ポルトガル語の「Vidro」・オランダ語の「Diamantを語源とした 「ビードロ」・「ギヤマン」と呼ばれていました。
さらにオランダから伝わった「Glas=ガラス」という言葉が一般的に使われるようになり、現在に至っています。
漢字で「硝子」と書いてガラスと読むのは、原料に硝石を使っているからで、明治の初年、官営の品川硝子製造所で使ったのが初めといわれています。
人為的に空気を吹き込んで成形する手法で、いわゆる「吹きガラス」と呼ばれています。
ステンレスパイプにて水飴を巻き取るようにガラス玉どりをして息を吹き込んで自由な形状に成形します。
その後、各種の治具を使っていろいろな形に整えます。
530℃付近でゆっくりと冷却してガラスの熱歪みを除去すれば完成です。
宙吹きのガラス玉どりまでは同じで、成型する時に特定の型の中に吹き込んで形を整えます。
同形状のものを比較的安価に製作することができます。
文字どおり型に鋳込んで成形する手法です。
Hot casting
・小物の場合には、湿った砂を用いて、子供の浜辺での砂遊びをするイメージで砂を造形し
溶けたガラスをそこに流し込みし、ゆっくりと冷却して作品を作ります。
・大物の場合には、各種耐火物で鋳造用鋳型を製作し、1500℃の超高温域で鋳込みします。
Cold casting
・石工原型を作成し、あらかじめガラスの粉末を充填しておき、炉の中で加熱して溶解・成形します。
電気炉を用いてガラスの板やブロックを加熱し、曲げ加工したり重ね合わせてくっつけたりする技法です。
ガラスの表面にマスキングテープ等でシールを行ったのち、そのテープに絵を書いて部分的にカットします。
その後、砥石の粉を高圧力で吹き付けますとカットした箇所が彫れて絵模様が出来上がります。
その後、シールテープを剥がすと完成で、だれでも簡単に挑戦できます。
各種のダイヤモンド砥石を用いて色被せガラスの表面をカットし幾何学的文様を施します。
萩ガラス工房では現在、江戸時代の萩切り子文様24種を復元しています。
ガラスの色は、主としてクロム・コバルト・鉄・銅などの金属酸化物を加えることで得られます。
また、ガラスを溶融する条件(酸化・還元)によっても色が変わることがあります。
萩ガラス工房の「緑色のガラス」は酸化鉄によるものです。
「ピンク色ガラス」をつくることも可能で、その材料にはなんと純金(Au)が使われます。
(一般的な赤色ガラスは安価な銅(Cu)を使って発色させています)
ただし金は特殊な金属で、普通の酸では簡単には溶解・配合することができません。
そのため特殊な酸「王水」で溶解させるなどして添加します。
「光の3原色」をご存じでしょうか。
RGBすなわち赤・緑・青の3つの色を掛け合わせのことで、テレビやパソコンなどのディスプレイにはこの原理が利用されています。
光はこの3色を混ぜ合わせると、白すなわち無色透明の光になります。
これをガラスに応用しても透明なガラスを作ることができます。
萩ガラス工房の「緑色のガラス」は、原石である石英玄武岩に含まれる成分によるそのままの色ですが、これに赤と青の色をそれぞれ調合すると透明なガラスができあがります。
さらに透明度を上げたガラスには酸化アンチモンなどの特殊な金属を添加します。
一般市販の透明クリスタルガラスには「鉛(Pb)」が含まれています。
※萩ガラス工房の製品には鉛等の有害な重金属は一切含まれておりません。